2月8日「針供養の日」の由来と歴史、行事の内容は?
2019/12/21
手芸が好きだったり、服飾関係の仕事についている人には馴染みのある行事の一つです。
2月8日は「針供養の日」として知られています。
私もパッチワークをしたり、キルティングをしたりして、針は大切な道具の一つです。
使い慣れた針は折れるまで大切に使います。
針は、それを使う仕事の人にとっては大切な道具であり、愛着のあるものだと思います。
ミシンなどは少しずつ開発が進み、時代の流れによって新しいものが次々と世に出回っています。
しかし、針仕事は昔から変わらず人々の衣生活を支えてきた重要なものです。
今回は「針供養」という行事の内容とその由来についてお話しします。
針供養とは
いつも生活の中で使われて、活躍している針に感謝をこめて、折れたり錆びたりしてしまった針を供養するというものです。
針は昔は日常生活に欠かせない大切な家事の道具でした。
一家の主婦が毎日使っていて、生活の中で、とても身近な物だったわけです。
ですので、若い女性は針仕事がこなせないと一人前と認められなかったので、裁縫が上達するようにという意味合いも合って、「針供養の日」に針を神社やお寺に奉納するのだそうです。
しかし現代では、洋服を自分で縫ったり、繕(つくろ)い物をしたりすることも少なくなってきています。
取れたボタンをつけなおしたり、子供の幼稚園バッグを縫ったりするくらいでしょう。
私は手芸関係の趣味を持っていましたので、とても馴染み深い道具でしたが、小学校の家庭科の授業で使う以外に活用される機会もほとんどないのが現状です。
小学校の時にそろえた裁縫道具一式も、今では部屋の片隅や押し入れのこやしになっているのではありませんか?
話は戻りますが、昔の人は毎日使っている針が折れたり、錆びたりして使い物にならなくなると、今までの感謝をこめて針の供養を行ったという訳です。
物を大切にしてきた日本人の美学ですね。
それと同時に、針を使う仕事の人(服飾関係)にとっての大切な仕事道具に対する感謝を表して使い古した針の供養を行うという意味もあります。
日にち
2月8日を「針供養の日」と定める地域が多いのですが、関西地方や九州地方では12月8日に行うこともあるようです。
地域によっては両日とも行うところもあります。
なぜ、2つの日時があるのかと言いますと、12月8日と2月8日はかつて「事八日(ことようか)」と呼ばれていて、12月8日を事納め、2月8日を事始めとしていたことが理由のようです。
由来
中国の
「社日(しゃにち)に針線を止む」
という古い慣わしが江戸時代に日本に伝わりました。
これは社日(生まれた土地の神様を祀(まつ)る日)には針仕事を休むという意味です。
中国の慣わしと日本の事八日の風習が合わさって、針供養の日ができたと言われています。
日本で最初に針供養を行われたのは和歌山市の淡嶋神社だそうです。
行事の内容
事始めの2月8日と事納めの12月8日は針仕事を休む日と考えられていました。
そこで使えなくなった針を豆腐やコンニャクのように柔らかいものに刺して供養したり、それを神社に納めたりします。
各家庭で「針供養」を行っていた頃は、針を刺した豆腐やコンニャクを川や海へ流したり、土の中に埋めたりして供養していました。
現代では土地によって多少の違いはありますが、一般的には針を神社やお寺に奉納して供養してあげます。
どんな人が行うの?
以前は針仕事は主婦の当たり前の作業でしたのでどこの家庭でも、家の中で行っていた行事でしたが、現在はあまり馴染みがなくなっていますよね。
ですが、職業で衣服を作ったりする服飾関係の人たちは今でも行っているところもあるようです。
供養する場所
各地域の神社で行われますが、起源となる淡嶋神社や淡嶋の神様を祀る寺院で行われます。
日本各地、針供養を行っている神社やお寺はたくさんあります。
地域によって日にちも違いますので、もし出向く場合は必ず確認してからのほうがいいでしょう。
服飾関係の学校や会社の中で行われることもあるようです。
針供養に行けない場合は?
針供養にわざわざ持っていく時間なんてないわという場合は、折れたり錆びたりした針をどうすればいいのでしょうか?
家庭ではゴミとして出すしかないと思いますが、何ゴミなのかわかりませんよね。
これも地域によって違うと思いますが、ガムテープなどに針をくっつけて不燃ごみとして出す方法が多いでしょう。
もし、針供養に出かけられるようでしたら、日頃は使わない小瓶などに針を入れて蓋をして保管しておき、まとめて「針供養の日」に神社に持っていきましょう。
なぜ豆腐やコンニャクに針を刺すの?
「いつも生地などの固いものばかり刺しているので、最後は柔らかいものの中でゆっくり休んでください」
という感謝の気持ちを表しているのだそうです。
豆腐やコンニャクはお供え物としての意味もあります。
他にもイモ、大根、小豆、人参などの煮物料理を食べるという地域もあります。
長く使われてきた物には魂が宿るとか神様が宿ると考えられることもあります。
「針供養」は、日頃から使っている身の周りのものを大切にするという気持ちを表した行事の一つだと言えます。
このような伝統行事はいつまでも正しく語り継がれていくといいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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